息子が体調を崩し夜間診療に行った。
越してきてから地理もわからず
夜間診療をやっている病院も言われるまま
タクシーに乗っても暗くて見慣れない道をどんどん走り
なんだか夢のような状態。
やっと着いて夜間入口を入る。
長椅子にサラリーマン姿の人が座っている。
その向こう側に夜間受付と書いた窓口。
中には警備員のおじさん?
??
「先ほどの電話の方ですか?」
話は通じているようだ。
さっき私が症状などを相談したのはこの警備員さん?
本当に警備員だ。
警備会社名の入った名札を付けている。
夜間診療ってこういうものだっけ?
???
夢の中がまだ続いているのかも。
息子は立っているのがつらくて
待合室と書いてある暖かい部屋の長椅子で座っていた。
私は必要な書類に記入して待合室に行こうとしたら
無表情な警備員は言葉だけは丁寧に
「熱のある方はそちらで待機していただきたいんですが。」
と入口にあったサラリーマンのいる風の抜ける椅子を指差した。
暖かい待合室には誰もいないのに
風の通る長椅子に私と息子とサラリーマンとその方の大きな鞄。
彼はもう診療が終わっていて薬を待っている。
寒いからか、出入り口から一番遠いところに座っている。
息子は出入り口に近いところで体温を測っている。
もうすぐ測り終わり返そうと思っている時
白衣を来た大学生のような薬剤師が
その方の前にひざをついて薬の説明を始めた。
狭い通路がふさがれた。
私たちの気持ちは
その薬剤師の向こうの警備員にこの体温計を渡すこと。
目線の手前に
大学生風薬剤師と40代くらいのまじめそうなサラリーマン。
その薬剤師は薬の説明に没頭している。
インフルエンザの特別な薬らしい。
粉を吸うように使う薬らしい。
「ではさっそくやってみましょう。」
????
あら、ここでやるの?
「では、これを吸って3秒くらい息を止めてください。
そうしないと咳き込んで薬が出てしまうんですよ。ではどうぞ。」
まじめそうなサラリーマンは丸い筒をくわえて
スーーーーっと吸い続けている。
「あ、もういいですよ。もういいです。」
なかなか吸うのをやめないので
薬剤師があわてて声を大きくする。
サラリーマンはやっと口を放す。
これでやっと体温計を開始に行けると思ったら
「では、これを8回やるのであと7回ですね。
次はこれをこちらにして、はい。これで吸います。」
サラリーマンはまた筒をくわえる。
「はい吸ってー。止めまーす。いち、に、さん。いいですね。」
「次はこれをこちらにして、はいどうぞ。」
サラリーマンはまた筒をくわえる。
「はい吸ってー。止めまーす。いち、に、さん。いいですね。」
「次はこれをこちらにして、はいどうぞ。」
サラリーマンはまた筒をくわえる。
苦しむ息子を放っておいて
笑いが出てきた。
ここで笑ってはいけない!
と思うとおかしくなってしまう。
本当にこれ病院?
どこかにカメラかくしてない?
無表情な警備員さんが体温計を回収に来た。
サラリーマンの頭の上から私は体温計を渡す。
誰も笑わずにまじめに時間が進む。
息子もこの世界の中で笑う気もなくぐったりしている。
こういう場所には向かない私。
サラリーマンの儀式は終わり
丁寧にお礼を言って帰って行った。
息子は診察室に入り
私は一人で長椅子に取り残され
今までのことがなかったかのように静かな時間がきた。
少しうとうとして気がつくとやはり待合室のままだった。
白衣を来た先生に声をかけられた。
息子の点滴中に私に病気の説明をしてくれた
先生は本物の先生でしっかりしたいい方だった。
夢じゃなかった。
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